4月14日、改正地域再生法が衆議院本会議で採決が行われ、賛成多数で可決され、成立しました。この中には地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税制度が盛り込まれています。
企業版ふるさと納税とは、地方公共団体が行う一定の地方創生事業に対する企業の寄付について、現行の損金算入措置に加え、法人住民税、法人事業税、法人税の税額控除の優遇措置を新たに講じることにより、地方創生に取り組む地方を応援するというものです。
現在、国・地方公共団体への寄付は指定寄付金として、その全額が損金に算入されます。
法定実効税率がおおむね3割であることから、寄付金額の約30%、寄付により法人税等の納税額が安くなります。これが現行の損金算入措置です。
企業版ふるさと納税制度の導入により、優遇措置として次の金額を新たに税額控除することとなりました。(平成29年3月31日までに開始する事業年度の場合)
・法人事業税:寄付金額の10%
※当期の事業税額の10%を限度とします。
・法人住民税:寄付金額の20%(道府県民税5%、市町村民税15%)
※当期の道府県民税の20%、市町村民税の20%を限度とします。
さらに、寄付金額が納付住民税額の20%限度を越え、枠を使い切れなかった場合でも、その越える部分と、寄付金額の10%(法人税の5%を限度)の小さい方を法人税から控除できます。
この改正により、寄付金額のうち現行の約30%+事業税10%+住民税等20%=最大60%を、
控除することができます。
つまり納税額から寄付した金額の6割(現行3割に、更に3割上乗せ)を、減らすことができます。
実際に寄付をするにあたり注意しておきたい点
・個人版とは違い、一定の金額まで100%軽減するわけではありません。
・お礼の品がある場合、受け取る資産の価格が受贈益として収益に該当します。
・本社が所在する地方公共団体、大都市など地方交付税の対象外となる団体などへの寄付は
対象外になります。また地域再生計画を策定し、国の認定を受けた団体が対象になります。
・その他寄付金の下限額は10万円、寄付の代償として経済的利益を伴わないことであること、
などといった制限がございます。
寄付を検討される際は、寄付を予定している市町村のHP等で、寄付金が税額控除の対象と
なるかどうかの確認を、お願いいたします。
このコラムは、平成28年1月25日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。