外国人が日本へ観光に来た際に、輸出物品販売場(いわゆる免税店)で商品を購入した場合、国外で商品を消費すると見込まれることから、免税店で購入した物品については消費税が免税とされております。
免税となる商品は一定の要件が有りましたが、この度、税制改正によりこの要件が緩和される運びとなりました。
訪日外国人の増加に伴い、免税店数も2017年時点で2012年と比べ10倍に増加しております。この要件緩和により外国人旅行者の利便性が向上し、外国人の旅行消費額の更なる増加と地方を含めた免税店数の増加が見込まれます。
外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
1点目としては、現行では免税販売の為に「一般物品」と「消耗品」それぞれで5,000円以上の購入が必要ですが、合算で5,000円以上、50万円以下であれば免税販売が可能となりました。
消耗品とは食料品、化粧品等を指し、一般物品とは消耗品以外の美術品などを指します。
外国人旅行者から一般物品と消耗品の判別が難しいという意見が多数みられたこと、免税点からも合算が認められることによる買い増しが期待できる、という所が改正の背景です。
ただし合算で購入する場合、消耗品のみに必要とされていた特殊包装を、合算で購入した商品に対しても行う必要がございます。なお、この制度は平成30年7月1日以後の開始となります。
免税制度における手続きの電子化
2点目としましては、現行では免税店において購入記録表の旅券への貼付、割印を受けることが免税販売の要件とされておりますが、それに代えて免税販売情報の電磁的記録による提出をすることが免税販売の要件となりました。
また現行では購入記録表の税関への提出が義務づけられておりますが、これが税関での旅券の提示義務に代わります。
なお、この制度は平成32年4月1日以後の開始となります。
これらのほかにも、観光基盤の拡充制度として国際観光旅客税が創設されました。
こちらは原則として、航空機又は船舶により出国する旅客を対象とし、出国1回につき1,000円を徴収する制度です。
こちらの税の使途としては空港環境の整備、観光資源の設備等に充てられることとされております。
なお、この制度は平成31年1月7日以後の開始となります。
改正項目から、外国人観光客の誘致及び観光立国確立のための政府の力の入れようを見ることができます。
補助金等の新設の有無など、今後の動向を注意深く見ていただければと思います。
このコラムは、平成30年4月30日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談ください。