Q:役所も固定資産税の計算を間違えるのですか?
先日、報道で固定資産税が間違えていて、役所から還付されたと聞きました。役所であればミスを起こさないと思いますが、なぜそのようなことが起こるのですか?私も、先祖代々の土地をはじめ、賃貸不動産を所有しているので、固定資産税が正しく課税されているか心配です。
固定資産税の課税ミスについて教えてください。
A:
江東区門前仲町の税理士 渋谷広志(しぶやひろし)です。
ご質問ありがとうございます。ご相談者様がお聞きしたとおり、固定資産税の課税誤りは今に始まったことではございません。少し古い資料ですが、平成24年の総務発表調査によりますと、回答のなかった東京特別区を除く全国の97.0%の市町村が過去において、課税誤りによって税額を修正したとしております。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000173655.pdf
誤りは、多い年で0.4%ということなので、250人にひとりの割合ですが、人数にすると19万人以上になります。
それでは、課税誤りの具体的な事例は報告書に記載されていないので、私見にはなってしまいますが、課税ミスの主な要因を探って解説を試みたいと思います。
1.入力誤り等
固定資産税は、コンピュータで計算されますが、その入力は人が行います。その結果、単純なデータ入力誤りが考えられます。
また、そのプログラムや基礎データの設定も人が行うため、固定資産税路線価等の基礎データの設定誤りも考えられます。
さらに、特に建物は土地と違って、構造や材質など、その部材ごとに単価や補正率が多岐に亘っているため、上記に加えてプログラムミスなども考えられます。
2. 課税特例の適用漏れ
課税ミスの金額で、最も大きな影響を及ぼすのが、この項目になります。住宅用地は一定の面積まで、税額が最大で6分の1に減額されますが、その適用漏れが原因で過大徴収となっている場合があります。
3. 現況地目の修正
役所で独自に判定している地目が誤っていたケースもあるようです。
特に、自宅の敷地の一部を駐車場として貸している場合は、本来は雑種地となると思いますが、宅地のままというのは、あるかと思います。
余談ですが、宅地で住宅用地のままですと、住宅用地の特例により雑種地よりも安くなっております。
4. 滅失家屋又は新築建物の未反映
所では年に1回、航空写真で地図上の建物と現況のチェックをしており、変更が確認できた場合に現地に赴いて確認しております。この最初の航空写真とのチェックで十分な人員や時間が割けないためチェック漏れが発生し、実際に滅失した家屋がそのまま台帳に残っていたケースや、逆に新築家屋が課税台帳に記載されていなかった場合もあるようです。
なお、家屋が滅失した場合は、住宅用地の特例が適用されなくなるので、建物の固定資産税は課されない一方で土地の固定資産税が上がるので、トータルの固定資産税は高くなるときもあります。
自宅建物を建て替えする際は、事前に手続きについて役所に確認することをお勧めします。
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このコラムは、2019年9月30日時点の法令により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、予め税の専門家にご相談してください。
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