江東区の会計事務所、渋谷広志税理士事務所です。
新しく事業を始めたいと思った時、たいていの方はまず株式会社を設立しようと考えると思います。ただ、ケースバイケースですが、条件が整えば個人事業として始めた方がより多くのメリットを享受することもあります。
今回は個人事業として開業することのメリットを紹介したいと思います。
1.消費税の免税期間に該当するチャンスが2回ある
現在の消費税の制度では、前々年の課税売上高が1千万円を超えていない場合は、その年は消費税を納める義務がありません(※注1)。。
例えば、今年個人事業を開業したとすると、12月までの間に1千万円以上売上げた場合、今年と翌年は消費税を納める義務はありませんが、翌々年は消費税を納めることになります。
この制度は、資本金1千万円未満の法人の場合も変わりません。
また、個人事業から法人成りした場合は、個人事業として今まで計上していた売上高は法人に引き継がれません。法人は法人としての前々期(※注2)の売上高が1千万円を超えた時に初めて消費税を納めることになります。
このことから、個人事業を開業した後、法人成りした場合は、消費税の免税期間に該当するチャンスが2回あります。
ただし、設備投資等の初期投資を行った際は、消費税が還付される場合もあるため、税理士とよく相談した方が、節税につながる場合もあります。
注1:事業を他の人から譲り受けた場合、前年の売上高及び給与支給が一定額以上の場合等は前々年の売上高に関係なく消費税を納める場合があります。
注2:個人事業の期間は暦年(1月~12月)となりますが、法人の場合は、期首から決算までとなります。
2.開業費用が抑えられる
株式会社を設立する場合は、自身で全てを行ったとしても、登録免許税その他で約20万円かかります。個人事業を開業する場合は、税務署に届出書を提出すれば終了するため実質費用はかかりません。
3.赤字になった時は税金を納めることが無い
株式会社の場合は、仮に赤字になったとしても地方税の均等割として7万円を毎期納付することになります。
しかし、個人事業の場合は赤字になった場合、税金を納付することはありません。
4.株式会社にもメリットがある
個人事業にメリットがあるように、株式会社を選択することによるメリットももちろんあります。
例えば、個人事業の場合は赤字を3年間しか繰り越せないのに対し、株式会社の場合は9年間繰り越せます。その他にも、個人事業に勝るメリットがたくさんあります。
起業する際に、個人事業として開業するか、株式会社を設立するかは、事業を始める方が最終的に選択することになります。これから事業を始める方は、最初から株式会社を選択せずに、自分にとってどの選択をすれば一番メリットを享受できるか、よく考えて選択してください。
よくわからない場合や相談相手が欲しい場合は、当事務所にご相談頂ければお手伝いさせて頂きますので、まずはご連絡いただければと思います。
このコラムは、平成26年6月25日時点に施行されている法令等により作成しているため、今後の法改正により異なる取り扱いとなる場合があります。
また、専門的な内容を判り易くするため、敢えて詳細な要件などを省略していることもあります。本コラムに記載されている内容を実行する際は、当事務所までご相談下さい。